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「待ちよみ」について①

私の肩書は

株式会社きいろいおうち 代表取締役  待ちよみ絵本講師 内田早苗

です。


「待ちよみ絵本講師」という資格 があるんですね。 と聞かれることがあるのですが 資格名ではありません。 「待ちよみ」は私が作った言葉なので、この肩書を名乗っているのは、私ひとりです。


「待ちよみ」 というのは、私が提唱している 家庭での読み聞かせの在り方です。 ノウハウではなく 考え方の一つと言えばわかりやすいでしょうか。


「待ちよみ」って何? を最も端的に説明してあるものが 私のプロフィールリーフレットに 記載されています。


【待ちよみ】とは? 待ちよみ(待ち読み)とは、私が提唱している親子間での絵本の読み聞かせの方法です。

「このように読むべき」というマニュアルのようなものでなく、親から子どもへの読み聞かせを通じて、子育て全般における「待つことの大切さ」を親が意識し、なおかつ待つ子育ての楽しさ、面白さを知るものです。

「絵本を親子のコミュニケーションのツールにしましょう」と聞いたことはありませんか? これには私も大賛成です。 ただ、絵本を読み聞かせながら親がしきりに指差して、「これなぁに?」と質問ばかりしていませんか? 質問に答えさせるのはコミュニケーションとは言えません。

「これ、食べたことあるね」 「ワンワンだね、かわいいね」 「おいしそうだね」 このように絵本を読みながら、子どもに語りかけるのは良いことです。

ですが、語りかけることに一生懸命になり、子どもの様子をしっかり見ることはできていますか? 絵本を読み聞かせるときに、親からのアクションを少し待ってください。

子どもが絵を見入る真剣な眼差しや、ふぅーっと深くつく息遣いに気がつくかもしれません。 子どもが指差す場所は親にとっては意外な箇所かもしれません。子どもが発する言葉は、親には思いつかない、気がつかない子ども感性ならではのものかもしれません。 それが面白いのです。楽しいのです。少し待つことで得られる喜びです。

「待つ」 「見守る」 「共感する」

子育てで大事な事が、「待ちよみ」には込められています。 (リーフレットより)



私が、「待ちよみ」にこだわるのには 理由があります。

それは、どうやら、絵本を読んだときに子どもが反応しないと、それは良くないことだと思われている風潮があるからです。 ただ読んだだけでは効果が薄い。 という考えをお持ちの方も多いようです。


なので、読んだあとに 「どうだった?」 「面白かった?」 などと質問したり、

例えば、誰か(や、何か)が亡くなる絵本を読み聞かせたあとに 「悲しいね、命は大切だね」 などと、親が内容を要約して早々に言葉にしてしまうことです。


もしかして、子どもは読み終えた時点では、 死って無くなることかな? ちょっとこわいな。 生き返るかもしれない。 などと、べつの思いを抱いているかもしれません。

または、読んでるママやパパの声のトーンから 何かをそっと感じているかもしれないのです。


命の大切さに思いをはせるのは、しばらくたってからかもしれないし、別の作品に触れたときや、 実生活での体験などと絵本がリンクしたときかもしれません。


かもしれません、と何度も繰り返しましたが、 まさにそこです。 子どもの心は確実に動いていて、でも言語化できなかったり、表情にも出していないかもしれないのです。


悲しいことがあった時に、大声で泣きじゃくる人もいれば、ポーカーフェイスだけど奥歯をぐっと噛み悲しみに向き合う人もいます。 子どもだって同じです。 見た目にわかりやすい反応をする子ばかりではないのです。

感性の豊かさ、感情の育ちは、表に出るものだけではかれるものではないのです。


じゃあ親が何か言うのは駄目なの?

そういう事ではありません。 読みながら感情が高まり泣いてしまったり、声につまったり、読み終えた後に感嘆の声が出たり、溢れる思いを言葉にしたり。 大笑いしたり、恥ずかしくなったり。 そういうのは、いくらだっていいのです。


私がして欲しくないのは 子どもに、同意を求めることです。 同意と共感は違います。


感想を求めるのもできればやめてほしいです。

子どもは生きている年月も浅く 使える語彙にも限りがあります。

ですが、感じる力は大人同様もしくは それ以上に研ぎ澄まされた感覚を持っています。 使える語彙で表現させるなんてことを 絵本を読むたびにさせていたら、大人に 体良く話す能力は身につくかもしれませんが、 かわりに失うものがあるのではないでしょうか。

何より、ただ純粋に絵やことばを心に取り込んでくれたらそれでいいのです。


絵本を読んであげたとき おしまい のあとは、どうぞゆっくり10秒で構いません。 そっと子どもに寄りそい、子ども自身の反応を待ってあげてください。

何か子どもが言えば、その言葉に返事をしてあげてください。 何も言わないなら、どうぞそのままで。


「待ちよみ」は簡単です。 今までしなければいけない。 もしくは、した方がいいと思っていたことをやめて ただ読むだけでいいのですから。


「待ちよみについて②」 以降の記事では また少し別の視点から 「待ちよみ」について書いてみたいと思います


良くある質問 ・勝手にページをめくってしまいます。 ・最後まで聞くことができません。 ・淡々と読むのがいいの?抑揚つけた方がいいの? ・本を破いてしまいます。 ・キャラクターものばかり選びます。 ・同じものを何度も読んでといいます。 ・何歳で何冊くらい読んでいればいいの?


などなど、挙げるとキリがないくらいある 読み聞かせに関する質問に、「待ちよみ絵本講師」の視点からお応えをしていきます。

2020.3.3

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